Japanese
English
原著
アトピー性皮膚炎患者の嗜癖的掻破行動の自覚と症状改善につながるスクラッチ日記の有用性
Scratch diary is useful for the recognition of addictive scratching behavior and influences the prognosis in atopic dermatitis patients
有川 順子
1
,
檜垣 祐子
1
,
川島 眞
1
Junko ARIKAWA
1
,
Yuko HIGAKI
1
,
Makoto KAWASHIMA
1
1東京女子医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Tokyo Women's Medical University
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
嗜癖的掻破行動
,
認知行動療法
,
スクラッチ日記
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
嗜癖的掻破行動
,
認知行動療法
,
スクラッチ日記
pp.471-477
発行日 2001年6月1日
Published Date 2001/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903609
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アトピー性皮膚炎(AD)患者には痒み刺激によらず,ストレスからの逃避行動としての性格を持つ習慣的な掻破があり,治療の出発点として患者自身がこの行動を自覚することが重要である.今回,入院および外来通院中のAD患者にステロイド外用剤をはじめとした標準的治療と並行して,スクラッチ日記(掻いた時刻,部位,痒みの有無,痒みの刺激によらない掻破のきっかけ,状況)を患者自身が記録することで嗜癖的掻破行動の自覚を促し,行動異常としての掻破を抽出し検討した.その結果,27人の患者が記録したスクラッチ日記にみられた全掻破2,566回のうち769回,30%が痒み刺激によらない掻破で,その掻破の部位は頭頸部,特に顔・耳に多かった.さらに日記を記載した27人中24人,89%で掻破の自覚ができ,皮疹の改善を認めた.また,そのうち21人で掻破の減少が明らかにみられた.
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