Japanese
English
症例報告
移動再発性皮下硬結を主徴とした日本顎口虫症の1例
A case of creeping eruption due to Gnathostoma nipponicum characterized by recurrent induration around subcutaneous tissue
谷野 千鶴子
1
,
野村 中夫
1
,
上出 良一
1
,
石田 卓
2
Chizuko YANO
1
,
Nakao NOMURA
1
,
Ryoichi KAMIDE
1
,
Takashi ISHIDA
2
1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室
2いしだ皮フ科
1Department of Dermatology, The Jikei University School of Medicine
2Ishida Skin Clinic
キーワード:
日本顎口虫
,
人体顎口虫症
,
皮膚幼虫移行症
Keyword:
日本顎口虫
,
人体顎口虫症
,
皮膚幼虫移行症
pp.1121-1124
発行日 1997年12月1日
Published Date 1997/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902388
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症例は50歳,女性.右下腹部に自覚症状を伴わない小児手挙大の浸潤性皮下硬結が出現した.近医を受診しデキサメタゾンの漸減内服にて消退した.その後同様の皮下硬結が位置を変え4回出現したため当科へ紹介された.生検では真皮全層から皮下脂肪織に至る血管,付属器周囲性の多数の好酸球を伴う稠密なリンパ球浸潤を認めたが,虫体は検出できなかった.約20日後,臍右側に同様の皮下硬結と水疱様線状疹が出現し,末梢好酸球数も著明に増多した.同部の切除標本内に虫体の断面を認め,日本顎口虫と診断した.日本顎口虫症の報告例のうち関東地方の在住者の報告は初めてである.幼虫移行症には有効な駆虫薬はなく,予防のためには中間宿主となる川魚の生食には十分注意するよう一般への啓蒙が大切と思われた.
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