Japanese
English
総説
色素性乾皮症研究の現況—遺伝子研究とその臨床応用を中心に
Current advances in research on xeroderma pigmentosum
錦織 千佳子
1
,
森脇 真一
1
,
武部 啓
2
,
今村 貞夫
1
Chikako NISHIGORI
1
,
Shin-ichi MORIWAKI
1
,
Hiraku TAKEBE
2
,
Sadao IMAMURA
1
1京都大学医学部皮膚科学教室
2京都大学医学部放射線基礎医学教室
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Kyoto University
2Department of Experimental Radiology, Faculty of Medicine, Kyoto University
キーワード:
色素性乾皮症
,
XPAC遺伝子
,
PCR-RFLP
,
保因者診断
,
創始者効果
Keyword:
色素性乾皮症
,
XPAC遺伝子
,
PCR-RFLP
,
保因者診断
,
創始者効果
pp.9-17
発行日 1994年1月1日
Published Date 1994/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901089
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最近の分子生物学的研究の進歩に伴って明らかになってきた色素性乾皮症(XP)の遺伝子レベルでの研究について総括した.XPA群の異常を相補するXPAC遺伝子の変異の箇所と臨床像との関連性について解析したところ,日本人XPA患者では,86%が,制限酵素A1wNIを用いたPCR-RFLPで診断可能なイントロン3のスプライシングの異常のホモ接合体であり,このタイプは,皮膚症状,神経症状ともに重症の典型的なA群の臨床像を示した.一方,Hph Iを用いたRFLPで診断可能な変異をホモ接合体で持つ患者は,日本では2人いたが,チュニジアのXPA患者では7例中6例(86%)がこのタイプの異常であり,この遺伝子型を示す患者は,皮膚症状,神経症状ともに軽症であった.このような,XPAC遺伝子を用いた遺伝子診断により,XPA群の診断が迅速かつ正確にでき,予後の判定や保因者診断,胎児診断にも応用可能なことを示した.
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