Japanese
English
症例報告
続発性亜鉛欠乏症—多発性骨髄腫末期患者にみられた1例
Secondary Zinc Deficiency: A Case Observed in a Patient in Terminal Stage of Multiple Myeloma
青島 敏行
1
,
岡田 隆道
2,3
Toshiyuki AOSHIMA
1
,
Takamichi OKADA
2,3
1大津赤十字病院皮膚科
2大津赤十字病院内科
3大津赤十字病院中央検査部
1Division of Dermatology, Otsu Red Cross Hospital
2Division of Internal Medicine, Otsu Red Cross Hospital
3Central Clinical Laboratories, Otsu Red Cross Hospital
キーワード:
続発性亜鉛欠乏症
,
多発性骨髄腫
,
水疱組織像
Keyword:
続発性亜鉛欠乏症
,
多発性骨髄腫
,
水疱組織像
pp.267-270
発行日 1992年3月1日
Published Date 1992/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900570
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
51歳,女性の多発性骨髄腫末期患者にみられた続発性急性亜鉛欠乏症を報告した.なお患者は中学時代からてんかんのため治療中であった.1987年8月腰痛を生じ,10月嘔吐,全身倦怠感,食思不振,腹痛をきたし入院,精査の結果,多発性骨髄腫(IgG-χ)と診断され治療を受けた.12月より食事摂取ができなくなり経中心静脈栄養法を開始,3カ月後の1988年3月下旬,眼囲,口囲,陰部〜肛囲等の典型疹の他に,手全体を包むような大水疱を生じた.脱毛,下痢も認められた.水疱組織像は表皮内に嚢腫が多数存在し,一部棘融解像が観察された.血清亜鉛値22.8mg/dl,Al-Pは皮疹出現の数日前から低下が始まっている.亜鉛を含む輸液に変更し,皮疹はやや軽快傾向をみたが,BUN,Crが上昇し,4月下旬死亡した.水疱の臨床像,組織像,発症病理に関して考察を加えた.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.