Derm.2024
スーパーローテート方式で得た財産
住田 隼一
1,2,3
1東京大学大学院医学系研究科感覚・運動機能医学講座皮膚科学
2東京大学医学部附属病院強皮症センター
3東京大学医学部附属病院SLEセンター
pp.147
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207293
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私が医師になったのは2005年である.ちょうど前年の2004年から新医師臨床研修制度が始まっており,私はスーパーローテート方式の初期研修制度が始まった2年目の世代であった.当時,医療現場には混乱があったように記憶しているが,医師になりたてであった私は皮膚科医になると決めていたわけではなく,将来何科を選択すべきか迷いもあった.選択期間で皮膚科を選択して,その魅力にとりつかれて皮膚科医となる決心をしたわけだが,皮膚科以外で得た他科での経験がいまなお日々の診療で生きている.膠原病を専門とする私は他科と連携する機会が多いが,専門的な知識がどうというわけではなく,他科の先生と議論する上でディスカッションやカルテ記載を見て,漠然とした表現であるが,他科臨床のイメージがしやすいと感じている.百聞一見にしかず,というところだろうか.近年,膠原病に限らず,多くの皮膚疾患で生物学的製剤が広く使われるようになってきており,当時では考えられないほど他科の知識が必要とされてきているように思う.当時,スーパーローテート方式の導入にはいろいろと議論があったが,少なくとも私にとっては大きな財産となって今日の診療に良い影響をもたらしてくれたと思っている.これらの経験を踏まえて,皮膚科へローテートしてきた初期研修医の先生には,皮膚科医として活躍するためにも他科での経験は貴重になるので,他科の研修こそがんばってきてねと伝えるようにしている.
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