プライマリ・ケア プライマリ・ケアに必要な初期臨床研修とその現状・2
ローテート臨床研修の現状と将来像
鈴木 俊一
1
,
箕輪 良行
2
,
坂本 健一
3
,
荒川 洋一
4
,
藤井 幹久
5
,
吉新 通康
6
,
細田 瑳一
7
1宮崎県環境衛生部医務薬務課
2三宅島阿古薬務課
3淡路島灘診療所
4福島県立田島病院
5岡山県大原町国保病院
6自治医科大学地域医療部門
7自治医科大学循環器内科
pp.507-514
発行日 1984年3月10日
Published Date 1984/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218963
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はじめに■
医学部を卒業し毎年国家試験に合格する者は6000人を超え,研修病院の不足が訴えられている.
典型的な卒後の生活設計の一例を考えてみると以下のようになる.卒業して出身大学の内科に入局した.第一内科は消化器と内分泌が主な主題である.受け持ち患者は多くても5人,血液疾患・神経疾患は扱うことはほとんどない.第二内科・第三内科との交流もほとんどない.大学での一年の研修も終わり,当人は内視鏡の技術と糖尿病の治療には或る程度の経験もできる.2年目は医局からの派遣により市民病院での研修であった.受け持ち患者は10人を超え,疾患の種類もやや広範囲のものとなった.3年目には大学の医局にて研究活動に入った.7年後学位も得て公立の病院へ消化器内科医として勤務.10年の勤務の後,自分より若い大学の講師が部長としてきた機会に,42歳になり内科・小児科をかかげて団地入口に開業した.一般に医師の勤務様式の統計でも40代で勤務医師と開業医師の数が逆転している(図1).多くの場合専攻した科目だからということで標榜科目を決め(図2),開業することになるが,実際の患者は一般診療所または病院として受診するので,内科系老人,小児中心の診療となっており,不本意な診療となる場合もある(図3).このような不本意な専門外診療をなくすためにも,ぜひ住民一般にニードの高いプライマリ・ケア(PC)医の教育とPC医としての専門性の重要性が強調されるべきである.
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