Japanese
English
症例報告
頭部脱毛斑を初発症状とした尋常性天疱瘡の1例
A case of pemphigus vulgaris with scalp hair loss as the initial symptom
島田 京香
1
,
本間 理紗子
1
,
日野 治子
1
,
岩渕 千雅子
1
,
牧野 寒河江
2
Kyoka SHIMADA
1
,
Risako HONMA
1
,
Haruko HINO
1
,
Chikako IWABUCHI
1
,
Sagae MAKINO
2
1公益財団法人日産厚生会玉川病院皮膚科
2牧野皮膚科医院
1Division of Dermatology, Nissan Tamagawa Hospital, Tokyo, Japan
2Makino Dermatology Clinic, Tokyo, Japan
キーワード:
尋常性天疱瘡
,
頭部
,
脱毛
Keyword:
尋常性天疱瘡
,
頭部
,
脱毛
pp.1067-1072
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207159
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要約 70歳台,女性.初診2か月前より頭部に瘙痒を伴う皮疹が出現.ステロイド外用薬で加療するも増悪し当科を紹介された.頭頂部に胡桃大の脱毛斑が隣接して2か所あり,湿潤した痂皮を除去するとびらんが生じた.その周囲の毛髪は容易に引き抜くことができた(抜毛テスト陽性).同部位の病理所見は峡部レベルで外毛根鞘内に裂隙を形成し,棘融解細胞がみられた.抗デスモグレイン1,3抗体価が高値で尋常性天疱瘡と診断した.その後,体幹に水疱とびらん,軟口蓋にびらんが出現した.体幹の皮疹の病理所見で表皮内水疱を確認し,蛍光抗体直接法では表皮細胞間にIgGとC3の沈着を認めた.プレドニゾロン40 mg/日を投与し,体幹の紅斑は消退し,頭頂部脱毛斑に発毛がみられた.頭部脱毛斑を初発症状とする尋常性天疱瘡は稀で診断にも苦慮する.難治性の頭部脱毛斑では尋常性天疱瘡を鑑別に挙げ,皮膚生検,自己抗体価の測定を積極的に行う必要がある.
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