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思えば皮膚科に入局してから丸30年が経過しました.私の入局当時は初期臨床研修制度がなく,臨床実習も6年生の1年間のみで,臨床現場をほとんど何も知らずに患者さんの前にデビューしたものでした.私は学生時代スキー部の活動に没頭しており,冬のスキーシーズンに行われる試験は後回しにできるものはすべてブッチして,とても「まじめに」競技スキーに取り組んでいました.医学教育の国際認証を受けるため,昨今のカリキュラムは以前より大幅に前倒しされ,72週間以上の臨床実習期間を確保するため1年生から基礎医学を学ぶのが標準的になってきました.早いところでは3年修了時にCBTを受験し,4年生から臨床実習に出ることになります.課外活動を以前のようにできないのは大変寂しいことだと思います.これからの学生は限られた時間を有効に使って何とか学生時代を楽しみ,青春を謳歌してほしいと願っています.卒前実習を充実させるのであれば初期臨床研修の期間はもっと短くて良いと思います.1年短縮すれば9,000人の医師が現場へ早く出ることになり医師不足解消の特効薬にもなります.
さて,晴れて医学部を卒業し,初期研修も終わり,皮膚科に入局した先生方はそろそろ仕事に慣れ,疲れが出てくることと思います.私のかつてのボスは雑用にもモティベーションを見出す天才でした.臨床写真の整理のような雑用でも臨床像と病名が同時に見られるチャンスです.どんなことにもどこかに役立つことが必ずあり,考え方ひとつで楽しくこなすことが可能です.皮膚病理や手術手技などのトレーニングも今は大変だと感じるかもしれませんが,理解が進み,技能を獲得するにつれ楽しくなってくるものです.ある程度自分をだましてでも仕事を楽しむ習慣はストレスマネージメントとしても重要です.かく言う私も本誌の査読を楽しんでやらせてもらっています.投稿者の皆様も査読コメントにへこたれることなく,楽しく再投稿に取り組んでいただければ幸いです.
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