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あとがき
石河 晃
pp.94
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205938
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明けましておめでとうございます.ついに東京オリンピック・パラリンピックが開催される年になりました.国立競技場も竣工し,お祭りムードは高まってきつつあるように思います.私事では今年還暦を迎えます.昭和時代で還暦といえば現役を引退し,おじいちゃんになったことを周知する節目のようなものでした.しかし,人生100年も夢ではなくなった令和時代では,60歳では年金も支給されず,現役としてばりばり働かなければ老後が心配ですし,高齢化社会も崩壊してしまいます.
政府が推進する働き方改革が医療の世界にも入り込んできています.勤務医で週60時間以上の労働をしている医師は男性で27.7%,女性で17.3%もいます.一方,世間一般では医師は皆,高給取りであるというイメージを持たれていますが,実態とはかなり異なります.医師の働き方改革を実現するには医師を増やすか,医師の業務を医師以外の人間かAIにさせるほかには選択肢はありません.しかし,行政は過重労働が深刻な診療科に,比較的「まし」な診療科から医師を異動することによって働き方改革をしようとしています.これでは当面はしのげても根本的解決にはなりません.このままでは医師が不人気職業となり,人材の地盤沈下を起こす懸念もあります.
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