Japanese
English
症例報告
全身麻酔導入時に使用したロクロニウムによるアナフィラキシーショックの1例
A case of anaphylaxis caused by rocuronium during general anesthesia induction
太田 梓
1
,
東山 礼一
1
,
中野 倫代
1,2
Azusa OTA
1
,
Reiichi HIGASHIYAMA
1
,
Michiyo NAKANO
1,2
1成田赤十字病院皮膚科
2千葉大学大学院医学研究院皮膚科学
1Division of Dermatology, Japanese Red Cross Narita Hospital, Narita, Japan
2Department of Dermatology, Graduate School of Medicine, Chiba University, Chiba, Japan
キーワード:
ロクロニウム
,
アナフィラキシー
,
筋弛緩薬
,
全身麻酔
,
プリックテスト
Keyword:
ロクロニウム
,
アナフィラキシー
,
筋弛緩薬
,
全身麻酔
,
プリックテスト
pp.420-424
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206701
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要約 25歳,男性.上口唇皮下腫瘍に対する手術の全身麻酔導入時にレミフェンタニル,ロクロニウム,プロポフォール,ジクロフェナクナトリウム坐剤,セボフルランを投与され,その6分後に全身の発赤と血圧低下を認めた.アナフィラキシーショックの診断で原因精査のため行ったプリックテストではロクロニウムが陽性だった.一方で交差感作の報告がある代替筋弛緩薬のスキサメトニウム,ベクロニウムは陰性だった.このため再手術の際にはスキサメトニウムが投与されたが,投与後もアナフィラキシーを示唆する症状は認めず,再発を予防できたことから,皮膚テストによる原因薬同定と代替薬検討は有意義であったと考えた.本邦では周術期のアナフィラキシーに関するガイドラインが制定されておらず,原因薬剤の疫学調査も途上である.アナフィラキシーショックの再発を予防し,安全性の高い麻酔を施行するため,本邦でも海外と同様のガイドライン制定が望まれる.
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