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増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022
1.最近話題の皮膚疾患
バンコマイシン誘発性線状IgA水疱性皮膚症
Vancomycin-induced linear IgA bullous dermatosis
吉田 憲司
1
Kenji YOSHIDA
1
1東邦大学医学部皮膚科学講座(大森)
1Department of Dermatology(Omori), Toho University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
バンコマイシン
,
線状IgA水疱性皮膚症
,
7型コラーゲン
,
蛍光抗体法
,
enzyme-linked immunosorbent assay
,
ELISA
Keyword:
バンコマイシン
,
線状IgA水疱性皮膚症
,
7型コラーゲン
,
蛍光抗体法
,
enzyme-linked immunosorbent assay
,
ELISA
pp.25-30
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206640
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summary
バンコマイシン誘発性線状IgA水疱性皮膚症の標的抗原は7型コラーゲンであり,バンコマイシン存在下において特異的IgA抗体が7型コラーゲンへの反応性を獲得して発症すると考えられている.通常の間接蛍光抗体法やELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)では特異的IgA抗体の検出が難しいが,血清または水疱内溶液にバンコマイシンを添加して1M食塩水剝離を用いた間接蛍光抗体法を行うと真皮側にIgAの線状沈着がみられ,ELISAで7型コラーゲンへの反応性増強が見られる.また,症例1では,バンコマイシン投与中止して皮膚症状が改善した時点での血清では7型コラーゲンへの反応性は消失していた.このことは,バンコマイシン投与中止後,一定期間経過していればバンコマイシンの再投与ができる可能性を示唆している.バンコマイシン添加をした血清や水疱内溶液を用いて間接蛍光抗体法やELISAを行うことは,患者の治療方針に有用な情報をもたらすと考えられる.
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