Japanese
English
症例報告
水疱内容液で診断することができた塩酸バンコマイシン誘発性線状IgA水疱性皮膚症の1例
A case of vancomycin hydrochloride-induced linear IgA bullous dermatosis diagnosed by blister fluid
吉濱 絵理
1
,
吉田 憲司
1
,
加藤 寿香
1
,
守井 茅
1
,
黒沼 亜美
1
,
小林 麻友子
1
,
志水 陽介
1
,
水谷 沙織
2
,
石河 晃
1
Eri YOSHIHAMA
1
,
Kenji YOSHIDA
1
,
Hisaka KATO
1
,
Kaya MORII
1
,
Ami KURONUMA
1
,
Mayuko KOBAYASHI
1
,
Yosuke SHIMIZU
1
,
Saori MIZUTANI
2
,
Akira ISHIKO
1
1東邦大学医療センター大森病院皮膚科
2東邦大学医療センター大森病院消化器センター内科
1Department of Dermatology, Toho University Medical Center Omori Hospital, Tokyo, Japan
2Department of Internal Medicine, Division of Gastroenterology and Hepatology, Toho University Medical Center Omori Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
線状IgA水疱性皮膚症
,
塩酸バンコマイシン
,
水疱内容液
,
蛍光抗体法
,
VII型コラーゲン
,
enzyme-linked immunosorbent assay
,
ELISA
Keyword:
線状IgA水疱性皮膚症
,
塩酸バンコマイシン
,
水疱内容液
,
蛍光抗体法
,
VII型コラーゲン
,
enzyme-linked immunosorbent assay
,
ELISA
pp.225-230
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206598
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要約 67歳,女性.膵体部癌Stage IV.急性閉塞性胆管炎に対する塩酸バンコマイシン(VCM)投与2日目に手掌足底に緊満性水疱,両下腿に紅斑が出現した.病理組織では表皮下水疱と,真皮乳頭部に好中球の浸潤を認めた.蛍光抗体直接法では表皮真皮境界部にIgAの線状沈着を認めた.また水疱内容液を用いた酵素免疫測定法ではVCM添加下でVII型コラーゲンに対するIgAの反応性の増強を認め,1M食塩水剝離皮膚を基質とした蛍光抗体間接法ではVCMを添加した場合に真皮側にIgAの線状沈着の増強を認めた.以上よりVCM誘発性線状IgA水疱性皮膚症と診断した.VCM中止後新生水疱はみられなくなったが,膵体部癌肺転移による呼吸不全で死亡した.近年VCM誘発性の線状IgA水疱性皮膚症ではVCM存在下でのみVII型コラーゲンへの反応性を有する血清中IgA抗体の存在が注目されている.本症例では保存していた水疱内容液を用いてVCM誘発性線状IgA水疱性皮膚症と診断しえた本邦初の報告であり,診断困難症例における検体保存の重要性を改めて認識した.
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