Japanese
English
症例報告
塩酸バンコマイシンにより誘発された線状IgA水疱性皮膚症の1例
A case of linear IgA bullous dermatosis provoked by vancomycin hydrochloride
新屋 光一朗
1
,
佐々木 駿
1
,
張田 修平
1
,
井藤 遥
1
,
中村 華子
1
,
北島 真理子
1
,
渡辺 秀晃
1
,
末木 博彦
1
,
石井 文人
2
,
橋本 隆
3
Koichiro SHINYA
1
,
Shun SASAKI
1
,
Shuhei HARITA
1
,
Haruka ITO
1
,
Hanako NAKAMURA
1
,
Mariko KITAJIMA
1
,
Hideaki WATANABE
1
,
Hirohiko SUEKI
1
,
Norito ISHII
2
,
Takashi HASHIMOTO
3
1昭和大学医学部皮膚科学講座
2久留米大学医学部皮膚科
3大阪市立大学大学院医学研究科皮膚態学
1Department of Dermatology, Showa University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Department of Dermatology, Kurume University School of Medicine, Kurume, Japan
3Department of Dermatology, Osaka City University Graduate School of Medicine, Osaka, Japan
キーワード:
バンコマイシン塩酸塩
,
線状IgA水疱性皮膚症
,
水疱症
,
薬剤性皮膚障害
Keyword:
バンコマイシン塩酸塩
,
線状IgA水疱性皮膚症
,
水疱症
,
薬剤性皮膚障害
pp.779-783
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206470
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要約 84歳,男性.蜂窩織炎に対し塩酸バンコマイシンを含む抗菌薬を投与中に軀幹・四肢に紅斑を生じ水疱・血疱を伴った.薬疹,水疱症を疑い生検した.組織では表皮下水疱を認め,水疱内や真皮浅層に好中球主体の炎症細胞浸潤を認めた.CLEIA法で抗BP180 NC16A抗体は陰性,蛍光抗体直接法でIgAが表皮基底膜部に線状に沈着.1M食塩水剝離ヒト皮膚を基質とした蛍光抗体間接法ではIgAが剝離皮膚表皮側に反応.免疫ブロット法ではLAD-1に対するIgA抗体を認めた.以上より塩酸バンコマイシンに誘発された線状IgA水疱性皮膚症と診断した.塩酸バンコマイシンを中止し,ニコチン酸アミド,塩酸ミノサイクリンを内服し軽快.再発はなかった.薬剤誘発性の線状IgA水疱性皮膚症は,被疑薬を中止し適切な治療を行えば速やかな軽快を期待できるが,標的抗原は多岐にわたり稀な疾患であるので,血清および蛍光抗体法を用いた詳細な検討が必要と考えられた.
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