Japanese
English
症例報告
免疫抑制状態の患者に生じたTrichophyton rubrumによる白癬性膿瘍の1例
A case of dermatophyte abscess caused by Trichophyton rubrum developed in immunocompromised condition
齋藤 聡一郎
1
,
竹内 瑞希
1
,
吉野 裕美子
1
,
中村 かおり
1
,
人見 勝博
1
,
福田 知雄
1
Soichiro SAITO
1
,
Mizuki TAKEUCHI
1
,
Yumiko YOSHINO
1
,
Kaori NAKAMURA
1
,
Katsuhiro HITOMI
1
,
Tomoo FUKUDA
1
1埼玉医科大学総合医療センター皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Saitama Medical Center, Kawagoe, Japan
キーワード:
白癬菌性膿瘍
,
Trichophyton rubrum
,
免疫抑制状態
,
外科処置
Keyword:
白癬菌性膿瘍
,
Trichophyton rubrum
,
免疫抑制状態
,
外科処置
pp.363-367
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206629
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要約 67歳,男性.ネフローゼ症候群に対しプレドニゾロン,タクロリムス内服中,初診3か月前から左下腿に小結節が多発してきた.初診時,左下腿から左足に淡褐色局面を認め,局面内には大豆大までの皮下結節が多発していた.褐色局面から真菌鏡検で糸状菌が確認されたが,皮下結節は初回の皮膚生検では診断確定に至らず,体部白癬に対して抗真菌薬外用での経過観察となった.外用で褐色局面は軽快したが,皮下結節は増大,膿瘍化したため,再生検を施行した.組織内に糸状菌を認め,また真菌培養および分子生物学的手法でTrichophyton rubrumを同定,本菌による白癬性膿瘍と診断した.テルビナフィン内服単独では難治であったため,追加で切開排膿処置を行い改善がみられた.深在性白癬の中でも膿瘍形成をきたすものは稀である.難治例が多いため,十分な治療効果を得るには抗真菌薬内服に加え,積極的に外科処置を加える必要があると考えた.
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