Japanese
English
症例報告
Escherichia coli単菌によると考えられた壊死性筋膜炎の1例
A case of necrotizing fasciitis caused solely by Escherichia coli
谷口 君香
1
,
臼居 駿也
1
,
横田 日高
1
,
吉見 育馬
2
,
山脇 聖子
2
Kimika TANIGUCHI
1
,
Shunya USUI
1
,
Hidaka YOKOTA
1
,
Ikuma YOSHIMI
2
,
Seiko YAMAWAKI
2
1福井赤十字病院皮膚科
2福井赤十字病院形成外科
1Division of Dermatology, Fukui Red Cross Hospital, Fukui, Japan
2Division of Plastic Surgery, Fukui Red Cross Hospital, Fukui, Japan
キーワード:
Escherichia coli
,
壊死性筋膜炎
,
糖尿病
,
慢性腎不全
,
胆管狭窄
Keyword:
Escherichia coli
,
壊死性筋膜炎
,
糖尿病
,
慢性腎不全
,
胆管狭窄
pp.351-357
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206626
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要約 66歳,男性.既往に糖尿病,慢性腎不全,慢性膵炎からの胆管狭窄があり,39℃台の発熱と左下肢の発赤,紫斑と熱感腫脹を認めた.意識は清明で,皮膚試験切開では,出血があり,フィンガーテストは陰性であった.抗菌薬を開始したが,敗血症性ショックを起こした.翌日,採血でCKとCRPの上昇を認め,壊死性筋膜炎と診断した.血液,切除した壊死組織の培養からは共にEscherichia coli単菌が検出された.E. coli単菌が起因菌と考えられた壊死性筋膜炎の症例は珍しく,肝硬変や糖尿病などの基礎疾患があることが特徴である.胆汁内の細菌はE. coliが最も多いことを考えると,本症例は胆管狭窄から胆囊内圧が上昇し,バクテリアルトランスロケーションを起こしたと考えた.基礎疾患のある患者では胆管狭窄の既往歴はE. coli単菌の壊死性筋膜炎のリスク因子になりうることを念頭に置くべきである.
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