Japanese
English
症例報告
トラベクテジンの血管外漏出による壊死性潰瘍の1例
A case of necrotic ulcer due to extravasation of trabectedin
日高 太陽
1
,
堀内 あゆみ
1
,
大森 俊
1
,
岡田 悦子
1
,
中村 元信
1
Taiyo HITAKA
1
,
Ayumi HORIUCHI
1
,
Shun OHMORI
1
,
Etsuko OKADA
1
,
Motonobu NAKAMURA
1
1産業医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, University of Occupational and Environmental Health, Kita-kyushu, Japan
キーワード:
トラベクテジン
,
血管外漏出
,
vesicants
Keyword:
トラベクテジン
,
血管外漏出
,
vesicants
pp.207-213
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206595
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要約 64歳,女性.治療抵抗性の子宮平滑筋肉腫に対して,トラベクテジンの投与を開始された.初回投与中,右前胸部のCVポートから血管外漏出した.発赤・疼痛が出現し,第4病日に当科を受診した.CVポートの抜去を行ったが皮膚壊死が緩徐に進行した.壊死は筋層まで及んでおり,デブリードマン,肉芽増生を十分に行ったのち植皮で創閉鎖した.デブリードマン後にトラベクテジンの投与を再開し,部分奏効を1年以上維持している.トラベクテジンは治療抵抗性の軟部肉腫に効果を期待できる薬剤だが,血管外漏出により広範囲の組織障害・壊死をきたす.本邦での承認は2015年と比較的新しく,漏出例の報告はいまだ少数である.自験例では,肉眼的な壊死の拡大停止を見定めたのちにデブリードマンを行うことで,最小限の侵襲となるようにした.また,トラベクテジンを再開し骨髄抑制が生じるタイミングを確認してから植皮を行うことで感染リスクの逓減をはかった.
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