Japanese
English
症例報告
トラベクテジン(ヨンデリス®)の薬液漏れにより胸部右側に広範囲の皮膚潰瘍をきたした1例
A case of wide-spread ulceration on right upper breast caused by extravasation of trabectedin
荒井 桜子
1,2
,
東田 理恵
2
,
岡林 綾
2
,
中川 浩一
2
Sakurako ARAI
1,2
,
Rie TOHDA
2
,
Aya OKABAYASHI
2
,
Koichi NAKAGAWA
2
1国立病院機構大阪南医療センター皮膚科
2済生会富田林病院皮膚科
1Division of Dermatology, National Hospital Organization Osaka Minami Medical Center, Kawachinagano, Japan
2Division of Dermatology, Saiseikai Tondabayashi Hospital, Tondabayashi, Japan
キーワード:
トラベクテジン
,
ヨンデリス
,
起壊死性抗がん剤
,
血管外漏出
,
中心静脈ポート
Keyword:
トラベクテジン
,
ヨンデリス
,
起壊死性抗がん剤
,
血管外漏出
,
中心静脈ポート
pp.853-857
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205543
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要約 75歳,女性.子宮肉腫肺転移に対し,中心静脈(central venous:CV)ポートよりトラベクテジンを投与された.投与後3日目までは自他覚ともに合併症なく経過したが,投与4日目から発熱,右前胸部から肩にかけての腫脹疼痛が出現し,補液と冷却にて対応していた.改善がないため当科を紹介され受診した.初診時,胸部右側の広範囲にわたって腫脹しており,紅斑と紫斑が混在していた.CVポート抜去時,膿性排液はなく,本例をトラベクテジンの薬液漏れによる皮膚障害と診断した.その後,ポート抜去部に皮膚潰瘍が出現し,徐々に拡大した.最終的には約17×15cmの筋層に及ぶ潰瘍となった.デブリードマン,陰圧閉鎖療法を行い,全層植皮術にて治癒に至った.文献を渉猟した結果,トラベクテジンは起壊死性抗がん剤であり,血管外漏出が起こると自験例のような重篤な皮膚障害に至る可能性が示された.また,皮膚症状が遅発性に現れることが特徴と考えられた.
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