Japanese
English
症例報告
胸腺腫による抗デスモグレイン抗体が陰性の腫瘍随伴性天疱瘡の1例
A case of paraneoplastic pemphigus without anti-desmoglein antibody
吉田 諭
1
,
宇都宮 亮
1
,
土居 千晃
1
,
武藤 潤
1
,
古賀 浩嗣
2
,
石井 文人
2
,
佐山 浩二
1
Satoshi YOSHIDA
1
,
Ryo UTSUNOMIYA
1
,
Chiaki DOI
1
,
Jun MUTO
1
,
Hiroshi KOGA
2
,
Norito ISHII
2
,
Koji SAYAMA
1
1愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学
2久留米大学医学部皮膚科
1Department of Dermatology, Ehime University Graduate School of Medicine, Toon, Japan
2Department of Dermatology, Kurume University School of Medicine, Kurume, Japan
キーワード:
腫瘍随伴性天疱瘡
,
デスモグレイン
,
エンボプラキン
,
ペリプラキン
Keyword:
腫瘍随伴性天疱瘡
,
デスモグレイン
,
エンボプラキン
,
ペリプラキン
pp.219-224
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206288
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要約 61歳,女性.59歳時に前縦隔腫瘍を健康診断で指摘され,60歳より口腔内潰瘍が出現し,前医を受診した.血清中の抗デスモグレイン抗体値を測定したが陰性であり,精査加療目的に当院皮膚科を紹介受診した.頰粘膜や舌縁にびらんや潰瘍を認めたが,体幹四肢にびらん,紅斑はなかった.頰粘膜部の生検,蛍光抗体法,免疫ブロット法を施行し,エンボプラキンとペリプラキンに対する自己抗体が検出され,腫瘍随伴性天疱瘡と診断した.前縦隔腫瘍は切除され,胸腺腫と診断された.手術後に口腔症状の増悪がみられたため,プレドニゾロン50mg(1mg/kg)内服を開始した.初診から9か月後時点で,口腔内潰瘍の新生はなく,閉塞性細気管支炎を生じていない.腫瘍随伴性天疱瘡は一般的に抗デスモグレイン抗体を有すると考えられているが,抗デスモグレイン抗体が検出されない症例もあり,デスモグレイン以外の抗原に対する自己抗体を精査する必要がある.
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