増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
感染症関連検査
ウイルス抗原・抗体検査
水痘・帯状疱疹ウイルス
高山 直秀
1
1東京都立駒込病院小児科
pp.558-561
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909939
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検査の目的・意義
水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster virus:VZV)はヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスである.VZVは主に経気道的に感染し,局所のリンパ組織で増殖したのち第一次ウイルス血症を起こして肝臓や脾臓に達し,ここでさらに増殖して第二次ウイルス血症を引き起こして全身に散布される.皮膚に達したVZVは,毛細血管内皮細胞で増殖して水疱を形成し,臨床的に水痘を発症させる.水痘治癒後にも,VZVは神経節のサテライト細胞に潜伏感染しており,宿主の免疫能が低下したときなどに再活性化して,帯状疱疹を引き起こす.
これまで水痘は子供の病気であり,帯状疱疹は高齢者の病気であると考えられてきた.しかし,生活様式の変化のためか,近年,成人の水痘患者も稀ではなくなった.さらに妊婦が妊娠末期に水痘に罹患したため,子供が胎内でVZVの感染を受けたり,出生後まもなく感染して発症する新生児水痘の症例も増しているように思われる.高齢者では水痘の再罹患がみられること,また水痘ワクチン接種を受けた者が,接種数カ月から数年後に自然水痘に罹患することが知られている.
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