Japanese
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症例報告
エルロチニブ,ベバシズマブ併用療法中に下肢に広範囲のびらんを生じた1例
A case of extensive leg erosion associated with erlotinib and bevacizumab treatment
鹿毛 勇太
1
,
袋 幸平
1
,
大須賀 裕子
1
,
泉 佳菜子
1
,
中村 和子
1
,
蒲原 毅
1
Yuta KAGE
1
,
Kohei FUKURO
1
,
Yuko OSUGA
1
,
Kanako IZUMI
1
,
Kazuko NAKAMURA
1
,
Takeshi KAMBARA
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科
1Department of Dermatology, Yokohama City University Medical Center, Yokohama, Japan
キーワード:
上皮成長因子受容体阻害薬
,
皮膚障害
Keyword:
上皮成長因子受容体阻害薬
,
皮膚障害
pp.389-394
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206067
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要約 67歳,女性.肺腺癌に対するエルロチニブ,ベバシズマブ併用療法中に,下肢に浸潤を触れる紫斑が出現した.ジフルプレドナート軟膏を外用したが紫斑は悪化し,エルロチニブ,ベバシズマブを中止した後も下肢に広範囲なびらんが生じた.連日の処置により下肢はすべて上皮化したが原疾患により死亡した.エルロチニブ,ベバシズマブでは,それぞれ異なった機序により皮膚障害,創傷治癒遅延が生じうる.自験例では,エルロチニブによる薬剤性皮膚障害が,ベバシズマブの創傷治癒遅延作用により遷延し,薬剤中止後であってもびらんが広範囲に及び重症化したと考えられた.化学療法の進歩により,複数の薬剤の組み合わせによる抗がん化学療法が多く使用されている.皮膚科医は,がん治療の継続を念頭に置きながら皮膚症状をコントロールするという高度な専門性を発揮することで,がん患者の生命予後の延長ならびに生活の質の向上に寄与することができると考えた.
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