Japanese
English
症例報告
潰瘍形成を伴った虚血性筋膜炎の2例
Two cases of ischemic fasciitis with ulcer
白木 絵莉菜
1
,
菊澤 亜夕子
1
,
皿山 泰子
1
Erina SHIRAKI
1
,
Ayuko KIKUSAWA
1
,
Yasuko SARAYAMA
1
1神戸労災病院皮膚科
1Division of Dermatology, Kobe Rosai Hospital, Kobe Japan
キーワード:
虚血性筋膜炎
,
潰瘍
,
褥瘡
Keyword:
虚血性筋膜炎
,
潰瘍
,
褥瘡
pp.113-118
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205944
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要約 症例1:79歳,女性.関節リウマチの既往あり.右背部尾側に潰瘍を伴う皮下腫瘤を形成した.皮膚生検にて,真皮深層から皮下組織にかけて壊死した脂肪組織,フィブリノイド壊死とその周囲に細血管や線維芽細胞の増生を認め,虚血性筋膜炎と診断した.除圧指導,デブリードマン,外用治療によって治癒した.症例2:77歳,女性 仙骨部の難治性褥瘡として近医より紹介.軽度の隆起を伴いデブリードマンを行ったところ,内部に黄色の硬い充実成分を認めた.病理組織検査では症例1と同様の所見であり虚血性筋膜炎と診断した.虚血性筋膜炎は高齢者,寝たきり患者の加重部に好発する皮下腫瘤であり,虚血が本症の一因と考えられている.褥瘡との鑑別が難しいこともあるが,虚血性筋膜炎では一般的に潰瘍形成を伴わない.しかし,当院での2症例では潰瘍形成を伴う皮下腫瘤を形成し,病理組織検査として虚血性筋膜炎として矛盾しない所見であった.加重部に潰瘍病変を認めた際,皮下腫瘤や充実成分を伴っているのであれば虚血性筋膜炎を鑑別に考える必要がある.
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