Japanese
English
今月の症例
耳後部に生じた壊疽性膿皮症の1例
A case of pyoderma gangrenosum on the postaulicular region
車谷 紋乃
1
,
藤田 英樹
1
,
照井 正
1
Ayano KURUMATANI
1
,
Hideki FUJITA
1
,
Tadashi TERUI
1
1日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野
1Division of Dermatological Science, Department of Dermatology, Nihon University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
耳後部皮膚潰瘍
,
壊疽性膿皮症
,
単発
Keyword:
耳後部皮膚潰瘍
,
壊疽性膿皮症
,
単発
pp.662-666
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205813
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要約 60歳,男性.約1年前に左耳後部にかさぶたを自覚した.1か月間抗菌薬含有軟膏を外用したが改善せず,当科を受診した.左耳後部に辺縁が堤防状に隆起する10×5mmの潰瘍があり,周囲に発赤を伴っていた.病理組織像で,真皮全層にリンパ球や組織球を混じる稠密な好中球の浸潤と膠原線維の変性がみられた.一般細菌,真菌,抗酸菌培養は陰性であった.精製白糖・ポピドンヨード外用を開始したが,次第に潰瘍は辺縁が堤防状,蛇行状を呈しつつ遠心性に拡大し,耳垂にまで及んだ.臨床所見と経過から壊疽性膿皮症と考え,クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏外用を行い潰瘍は約1か月で上皮化したが,発赤・排膿が再燃しプレドニゾロン内服を開始し軽快した.全身検索を施行し合併症はなかった.自験例は壊疽性膿皮症の好発部位以外の単発性潰瘍であり,診断に難渋した.原因不明の難治性潰瘍では部位を問わず壊疽性膿皮症も考慮するべきと考えた.
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