Japanese
English
症例報告
透析患者に発症した左上肢スポロトリコーシスの1例
A case of sporotrichosis on left upper extremity associated with hemodialysis
瀬戸山 絢子
1
,
岡田 悦子
1
,
小田 友子
1
,
櫻木 友美子
1
,
大森 俊
1
,
小林 美和
2
,
中村 元信
1
Ayako SETOYAMA
1
,
Etsuko OKADA
1
,
Tomoko ODA
1
,
Yumiko SAKURAGI
1
,
Syun OHMORI
1
,
Miwa KOBAYASHI
2
,
Motonobu NAKAMURA
1
1産業医科大学病院皮膚科学教室
2こばやし皮膚科クリニック
1Department of Dermatology, University of Occupational and Environmental Health, Kitakyusyu, Japan
2Kobayashi Dermatology Clinic, Kitakyusyu, Japan
キーワード:
スポロトリコーシス
,
血液透析
,
免疫不全
Keyword:
スポロトリコーシス
,
血液透析
,
免疫不全
pp.903-907
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205553
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要約 86歳,男性.20年来の血液透析患者であり,自己免疫性膵炎に対しプレドニゾロン(PSL)5mg/日内服中であった.自宅屋内で転倒2か月後,左手背から前腕に膿瘍,潰瘍が多発し複数の抗菌薬治療を受けたが難治であった.病理組織所見では好中球,リンパ球,組織球からなる肉芽腫を形成し,円形の菌要素を確認した.PAS染色とGrocott染色で陽性に染まる菌要素を認めた.ポテトデキストロース寒天培地で黒褐色のコロニー上に灰白色の中央に皺のある湿潤性コロニーを形成し,スライドカルチャーでは細い菌糸と円形で小型の分生子形成を認めた.皮膚リンパ管型スポロトリコーシスと診断し,イトラコナゾール100mg/日の内服と温熱療法で徐々に上皮化した.PCRで原因菌はSporothrix globosaと同定された.血液透析,糖尿病,悪性腫瘍などの免疫不全がある患者に難治性の結節,潰瘍,膿瘍を生じた場合は,土壌と接触歴がなくてもスポロトリコーシスの可能性を念頭に置く必要があると考えた.
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