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あとがき
阿部 理一郎
pp.648
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205491
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専門外来として薬疹とリンパ腫を診ています.ですがほとんどの患者さんは菌状息肉腫の方です.以前はアトピー性皮膚炎や脱毛症を担当していたこともありましたが,患者さんが減らずに増加の一途で大変でした.しかしリンパ腫も同じで,まさに慢性疾患として長年病気とつきあっていく類いのものです.
県内の先生方から多くの患者さんをご紹介いただき,個々の症例で現時点での最適な治療を施せるよう取り組んでいます.菌状息肉腫は非常に緩徐に進行しますし,早めに多剤化学療法を行ってもかえって予後が悪くなるというデータがあることもあり,これまではできるだけ負担の少ない‘弱い’治療を長期に行っていました.ですが最近は,進行させないことに主眼を置いた薬剤が登場してきました.もちろん高い頻度で副作用が生じますが日常生活を妨げるレベルにまではいかないものが多く,選択の幅が広がってきています.今後は,奏効することを目指すのではなく,‘積極的’にSD(stable disease,腫瘍の大きさが変化しない状態)を維持する,という方針に変わっていくと思います.
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