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あとがき
阿部 理一郎
pp.92
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205306
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先日,天野正宏教授からお呼びがかかり,久しぶりに宮崎へ行きました.宮崎は幼少時代と,小学6年から中学3年までを過ごした場所です.ホテルが以前住んでいた場所に近かったので,記憶をたどって歩いてみることにしました.目に映る風景はすっかり様変わりしており寂しく思いましたが,たどり着いた中学校は思い出の中のままの姿で,プールや体育館,そして玄関前のフェニックスも昔のままでした.続いてたどり着いた小学校も校舎はそのままで,30年前に窓から友達が手を振ってくれたことを思い出しました.登下校時いつも構内を横切っていた宮崎大学は移転してしまっていましたが,なんだか昔の自分に道案内されながら歩いているように思えました.小学生のときに漠然と医師に憧れて,医師になりたいと考えはじめたことも思い出し,その頃思い描いた将来の自分になっているのか,そんなことを考えながら歩き続けました.
その後,祖母に久しぶりに会いに行きました.今年百歳となり,老いた姿を想像していましたが,相変わらず矍鑠とした様子で,お昼にすき焼きを食べていたのには驚きました.祖母の顔に星のように浮かぶ黒いものをぼんやりと眺めながら,何度目かの同じ質問に答えました.たぶん,今私がどこに住んでいるかわからないかもしれませんし,もしかしたら子供の頃の私に話しかけていたのかもしれません.
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