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あとがき
阿部 理一郎
pp.636
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206437
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医療の場での働き方改革は,同時に女性医師問題をさらに浮き彫りにしています.いまだ女性(医師)に対するステレオタイプが残り,女性医師自身が諦めの気持ちとなり,結果的に活躍の場を狭めてしまっています.これは多くの環境(個人,家庭,職場,社会)のそれぞれの問題が絡み合っていますが,逆に何か1つでも改善すれば,今より必ず良くなります.それが成功体験として次につながります.焦らず1つずつ取り組めば,ドミノ倒しのように女性医師の活躍できる社会になっていくはずです.2つ,当教室の取り組みを書きます.
・男性育休:女性しか子供を産めませんが,女性しか子供を育てられないわけではありません.当科では原則,男性も育休を取ってもらっています.当初教室の中からは,最短の1か月の育休に懐疑的な意見が多数でした.それに対する答えが,ある新聞記事にあったので引用します.「1カ月程度の育休で何が変わるのかと思うかもしれない.しかし,カナダのケベック州の育休改革を分析した研究によると,男性が5週間ほど育休を取ると,3年後の家事時間と子育て時間がいずれも2割程度増えた.育休取得をきっかけとして家族と仕事に対する価値観が変化し,そのライフスタイルの変化はその後も長く続いた.たかが1カ月.だが男性の育休は,人生を変える1カ月になりうるのだ.」(日本経済新聞朝刊2021年5月17日付 山口慎太郎)
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