Japanese
English
連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.9
脳組織Treg分化における抗原提示細胞
Antigen presentation in brain Treg differentiation
松井 亜子
1
,
伊藤 美菜子
1
Ako MATSUI
1
,
Minako ITO
1
1九州大学生体防御医学研究所アレルギー防御学分野
キーワード:
脳梗塞
,
脳Treg
,
TCR
,
抗原提示細胞
Keyword:
脳梗塞
,
脳Treg
,
TCR
,
抗原提示細胞
pp.1017-1021
発行日 2024年9月14日
Published Date 2024/9/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290111017
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SUMMARY
中枢神経系疾患時に神経組織では炎症性のT細胞は炎症誘発に寄与し,一方で炎症制御や組織修復に働く制御性T細胞(Treg)の重要性が明らかになってきている.この “脳Treg” は,胸腺で分化したTregが二次リンパ組織を介して脳内に浸潤し,脳特異的なフェノタイプを獲得したものであると考えられている.共通の組織Treg前駆細胞から脳特異的なTregへの分化には,脳内の環境が大きく影響していると考えられるが,T細胞受容体(TCR)を介した抗原認識も重要な条件であることが示唆されている.しかし,現在までに脳Tregへの分化を誘導する抗原はもちろん,抗原提示細胞も同定されておらず,また,どこで抗原提示を受けているかも示されていない.Tregに対する脳内抗原提示細胞となり得る細胞はさまざまに存在する.脳Treg特異的な抗原提示細胞の同定は,神経炎症性疾患の予防や治療に重要な貢献をすることが期待されている.本稿では中枢神経系組織Tregの抗原提示について概説したい.
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