特集 現代医学・生物学の仮説・学説
6.免疫学
抗原提示
成内 秀雄
1
1東京大学医科学研究所アレルギー学研究部
pp.572-573
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900649
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概説
主要組織適合性抗原クラスⅡ分子の重要性:外来抗原によるT細胞の活性化には,抗原提示細胞上に発現されたクラスⅡ主要組織適合性抗原と複合体を作った抗原ペプタイドとT細胞の抗原受容体との反応が必須であり,自己細胞内抗原に対してはクラスⅠ分子が主としてはたらいている。アクセッサリー細胞とよばれていたこの細胞の免疫制御遺伝子(Ir gene)の重要さを示し,アクセッサリー細胞がT細胞活性化には必須であることを示したのはRosenthalとShevachの実験(1973年)である。彼らは,合成ペプタイド抗原によるT細胞の活性化の成否がアクセッサリー細胞のクラスⅡのタイプによって決まることを示した。アクセッサリー細胞とT細胞との反応には両細胞はクラスⅡが同じタイプに属する個体に由来する必要があるとする,免疫反応におけるクラスⅡ拘束性の概念が確立した。その後,クラスⅡ分子は抗原提示細胞-T細胞反応に直接関与すると考えられるようになった。
抗原提示細胞内の抗原処理機構:T細胞を抗原刺激するためには抗原が結合してから一定時間,ふつうには約1時間たった抗原提示細胞を用いる必要があることがGrey(1982年)やUnanue(1981年)などの実験で確かめられ,抗原はT細胞に認識されるためにはなんらかの処理(processing)を受ける可能性が指摘された。
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