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あとがき
渡辺 晋一
pp.1008
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204934
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海外では専門医と非専門医では診療報酬がかなり異なるため,医師は努力して専門医になろうとする.しかし日本では,医師免許さえあれば,どの医師も資質は同じだという前提に立っているため,誰が診ても診療報酬は同じである.その結果わが国では,優秀な医師ほど収入が減少するという不思議な現象が起こる.なぜならば未熟な医師のほうが正確な診断を下すことができないため,多くの血液検査をし,不適切な治療を行う.そのため患者は治らず,何回も病院に足を運ばなければならないが,出来高払い制度下の日本では,病院の収入は増える.
このような日本の現状を変える目的もあり,日本専門医機構が生まれたが,いくつかの学会の反対もあり,日本医師会の役員が専門医機構のメンバーに加えられた.そのせいか,専門医と非専門医間で保険の点数に差をつけないということが,声高々に叫ばれるようになった.眼科や耳鼻科など多くの診療科では,専門医以外の先生が診断・治療をすることはきわめて稀である.しかし皮膚科以外の先生が皮膚病治療をしていることは多い.実際に皮膚科の外用薬の半分以上は皮膚科以外の先生が処方している.したがって保険点数に反映しない専門医制度で,一番困るのは皮膚科医である.
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