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最近日本で最初の爪白癬に有効な外用抗真菌薬が発売されたが,それ以前の抗真菌外用薬も爪白癬に有効で,保険の適用があると思っている皮膚科医(皮膚科教授も含む)が非常に多いことがわかった.今までの外用抗真菌薬は爪白癬には無効(プラセボとの比較で有意差がない)であることは,国内ばかりでなく,海外の治験でも十分証明されている.一方でラミシール®は6か月内服させると,それ以上の投与は保険で認めないという.爪白癬に対しイトリゾール®の3パルスでは治癒率は30%にも満たないが,添付書類には3パルスと記載があるので,3パルスで保険が切られても仕方ないかもしれないが,ラミシール®を6か月超えて投与してはならないとは,どこにも記載がないし,根拠もない.最もエビデンスレベルが高いLION studyは,ラミシール®の3,4か月投与群とイトリゾール®のパルス療法を3,4回行った群を1年にわたって観察した結果,ラミシール®が有意に優っているというものである.この治験ではさらに続きがあり,いったん治癒したと思われた患者をフォローアップすると,ラミシール®の3か月投与では治癒率はせいぜい50%である.日本以外の国(韓国や中国を含む)のラミシール®の投与量は250mgが標準であるが,日本では125mgなので,ラミシール®投与250mg3か月は日本ではラミシール®6か月投与に相当すると思われる.実際爪の伸びが若い人は6か月程度でも治癒する患者はいるが,爪白癬患者の多くは1年近く内服しないと治癒しない.それにもかかわらず,途中で内服をやめたら半分の患者は治癒せず,また内服を再開しなければならない.これは医療費の無駄遣いであるし,また耐性菌を誘導する.その一方で,従来の外用抗真菌薬の爪白癬使用を保険で認めている.外用薬は内服薬と比べて安いからというのは,言い訳にならない.なぜならば日本で処方されている外用抗真菌薬の20%が爪白癬に使用されおり,その金額は膨大である.さらに医薬品として認可されている保湿剤の年間の売り上げは300〜500億円といわれている.これらの保湿剤はアトピー性皮膚炎や湿疹の保険適用はないし,今ある湿疹・皮膚炎を改善させるという証拠はない(アトピー性皮膚炎の発症予防には多少役立つかもしれないが).このように保険適用でない薬を保険で通し,保険適用がある薬剤を切るという不正審査が行われている.このことを知らなかった私がいけないのであろうか.
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