Japanese
English
症例報告
二次的な修飾により初診時のダーモスコピー診断が困難であった基底細胞癌の1例
A case of basal cell carcinoma with diagnostic difficulty on dermoscopy at initial visit due to secondary modification
貞安 杏奈
1
,
澤田 美月
1
,
出来尾 格
1
,
石崎 純子
1
,
田中 勝
1
,
藤林 真理子
2
,
領家 俊雄
3
Anna SADAYASU
1
,
Mizuki SAWADA
1
,
Itaru DEKIO
1
,
Sumiko ISHIZAKI
1
,
Masaru TANAKA
1
,
Mariko FUJIBAYASHI
2
,
Toshio RHOKE
3
1東京女子医科大学東医療センター皮膚科
2東京女子医科大学東医療センター病理診断科
3足立東部病院外科
1Department of Dermatology, Tokyo Women's Medical University Medical Center East, Tokyo, Japan
2Department of Pathology, Tokyo Women's Medical University Medical Center East, Tokyo, Japan
3Division of Surgery, Adachi Tobu Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
基底細胞癌
,
ダーモスコピー
Keyword:
基底細胞癌
,
ダーモスコピー
pp.970-974
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204925
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要約 72歳,男性.初診の半年前より左鼻翼の皮疹が徐々に拡大した.淡紅色から一部黒褐色の,痂皮を付着する13×11mm大の半球状に隆起する小結節がみられた.ダーモスコピーでは血痂と白色鱗屑が目立った.白色網目構造と,糸球体状血管,線状血管,ループ状血管があり,中心部と辺縁部ではわずかに青灰色構造がみられたが,基底細胞癌に典型的な所見を欠いていた.病理組織学的所見では一部表皮と連続して好塩基性の腫瘍細胞が胞巣を形成して増殖していた.胞巣の周囲には裂隙とムチン沈着あり.基底細胞癌と診断し,初診2か月後に全摘した.全摘時のダーモスコピーでは痂皮や白色鱗屑が減少し,青灰色構造が明瞭化した.痂皮や白色鱗屑によりダーモスコピー診断が困難な症例では,被覆材の使用や軟膏処置により掻破行動などが抑制され,二次的な修飾が減少しダーモスコピー像が明瞭になる可能性がある.
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