Japanese
English
症例報告
炎症性粉瘤に類似した臨床像を呈した皮膚黒色菌糸症の1例
A case of phaeohyphomycosis showing an inflammatory atheroma appearance
田中 諒
1
,
齋藤 京
1
Ryo TANAKA
1
,
Hitoshi SAITO
1
1さいたま市立病院皮膚科
1Division of Dermatology, Saitama City Hospital, Saitama, Japan
キーワード:
phaeohyphomycosis
,
黒色菌糸症
,
粉瘤
Keyword:
phaeohyphomycosis
,
黒色菌糸症
,
粉瘤
pp.717-720
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204864
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要約 83歳,男性.既往歴に糖尿病があった.初診1年前より右手背に皮膚腫瘤が出現し,増大傾向があり,当院を受診した.受診時,右手背に3cm大の弾性硬の皮膚腫瘤があり,表面は淡紅色,中央に痂皮を伴っていた.痂皮のある部位から少量の排膿があった.皮膚病理組織学的所見で真皮に線維性結合織で囲まれた化膿性肉芽腫が形成されており,深層では膿瘍を形成する3層構造を示した.肉芽腫,膿瘍には隔壁を有する褐色菌糸と円形細胞の連鎖したトルラ菌糸があった.以上より黒色菌糸症(phaeohyphomycosis)と診断した.臨床像,単純MRI画像所見からは粉瘤との鑑別が困難であり,病理組織学的に診断することができた.慢性的な排膿を伴う皮膚腫瘤を診察した場合,鑑別の1つに黒色菌糸症を挙げる必要があると考えた.
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