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『臨床皮膚科』の読者ならびに投稿される著者の皆さん,さようなら.お別れの言葉となりましたが,この3月をもって,編集委員を辞することになりました.平成16年に編集委員になった当時のメンバーは,西川武二先生,新村眞人先生,田上八朗先生,瀧川雅浩先生,川島 眞先生と私の6人でした.月1回の編集会議では投稿原稿を皆で順に読みながら,最後にディスカッションをして,受理や再投稿を判定していました.私は平成3年に教授になっていたものの,雑誌編集は初めてのことで,大先輩を見習い,また,いろいろとご教授いただいて,徐々に要領を会得しました.本誌は商業雑誌ではあるものの,70年の歴史があり,本邦の皮膚科学分野の「権威」ある学術雑誌と言えますが,それだけに医学の発展に貢献するために質の高い学術論文を掲載していかなくてはなりません.今や,編集委員としては私が最も古株になっており,その責任をいつも感じていましたが,これで後の方々に役目を譲って肩の荷が下りるわけです.近年は,皮膚科専門医を目指す若い人の症例報告論文が圧倒的に多く,言わば皮膚科専門医への「登竜門」になっていて,論文の書き方,写真や図の作り方や説明の仕方,表の作り方,文献の付け方などに問題のある未熟な投稿論文がとても多いのです.でも,それを丁寧に指摘して直してあげるのが,編集委員の大切な役割になっています.本誌は『臨床皮膚科』ですので,特に症例報告では臨床写真や組織写真は,鮮明で所見が明瞭にわかることが重要です.患者さんを診察するときから,そのことを考えておく必要があります.私は入局4年目で留学し,JIDなど一流の雑誌に投稿するようになったとき,reviewerから大抵は厳しいコメントや判定が返ってきました.私の恩師,橋本 健先生(現,Wayne州立大学名誉教授)に「論文は著者だけのものではなく,editorやreviewerとの合作だ」と言われ,納得しました.私としては,そのようなつもりで,本誌に投稿してくださる皆さんの論文を十分に見せていただき,編集に取り組んできました.厳しいコメントや「不採用」の結果もありましたが,本誌の質を維持するには重要なことと信じています.しかし,十分な準備をして,論文内容を自ら何度もチェックして,指導医と十分に検討して,恐れることなく自信をもってどんどん投稿してください.それが,自らの実力アップに繋がると思います.
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