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「主研修施設」と「責任指導医」というのをご存知ですか?これらは,皮膚科専門医制度において,今年4月に新たに定めた事柄です.従来,皮膚科専門医資格を取得するためには,指導医のいる研修施設で5年間の研修をすることになっていて,現在,600を超える研修施設があります.しかし,これまでは,1名の皮膚科専門医が常勤していて総合病院であれば,研修施設としていました.もちろん,このような病院での研修もある程度認められるべきですが,それだけでは皮膚科としての専門性を身に着けるための研修は不十分と言わざるをえません.言い換えますと,皮膚科専門医1人常勤の病院と,多数の専門医が常勤し,研究,学会活動,高度な診療,さらに医学教育をしている大学病院とが,同じレベルの「研修施設」という基準で皮膚科専門医制度が運営されていたわけです.現在,60を超える学会が専門医制度を運営していますが,皮膚科のような研修施設の安易な基準は他にありません.専門医制度が発足した数十年前であれば,やむをえないことと言えますが,今となっては,皮膚科が遅れをとってしまったことは否めません.そこで,複数の皮膚科専門医が常勤して,十分な研修ができ,研修の中心となる「主研修施設」を認定し,いわゆる研修施設群で研修するシステムに規則を変えたわけです.「主研修施設」の指導医の最高責任者が「責任指導医」ですが,「責任指導医」はすでに専門医を更新していて,十分な指導経験と皮膚科分野の業績のある者でなくてはなりません.今年度中に「主研修施設」と「責任指導医」の認定を行い,来年度の新入会者から「最低1年以上」の「主研修施設」での研修が義務付けられます.このところ,本誌の編集委員会で問題とみていることとして,若い人の投稿で指導医による原稿チェックが十分にされていないとみられるものが少なからずあります.研修医にとって適切な論文作成も研修の1つですので,責任指導医や指導医の方々にはよろしくご指導をお願いします.
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