- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
近年の本誌を見ますと,皮膚科専門医制度の前実績のためでしょうが,研修中の若い皮膚科医の方々の投稿が非常に多く,しかも「原著」は少なく,「症例報告」が大多数を占めています.もちろん,若い先生が奮って論文を書くことは研修としても重要で,疾患の勉強になり,論文の書き方の訓練にもなります.また,「症例報告」も報告すべき学術的価値があるからこそ,本誌に採択しています.そこで,それら論文の「要約」についてお話ししたいと思います.投稿原稿を編集委員会で査読するとき,まずは「要約」を読みますが,まさに「症例」を「報告」するのみで,その症例の医学的価値が明確でない原稿がしばしばあります.すなわち「症例」について考案した内容が書かれておらず,論文の大切なセールスポイントが「要約」から抜け落ちているのです.もちろん考案の内容をだらだらと書いては困りますが,簡潔にその論文としてのメッセージを「要約」の最後に書くべきです.一方,「要約」が,本文の「はじめに」とほとんど同じになっている原稿も見受けられます.「要約」(Summary)は,その論文全体の内容を簡潔に表すものですので,いずれもいけません.医学中央雑誌で論文検索をしますと,タイトルだけでなく,「要約」(抄録)も得られますので,検索者に全文を見てもらい,引用してもらうためにも,充実した「要約」は大切です.この点,本号のなかにも,私としては少し不満な「要約」の論文があるのですが,既に印刷段階ですので,やむを得ません.しかし,編集委員会を満足させるためや,雑誌のためではなく,論文を発表することでその著者が公に評価され,また,論文は後世まで残るものですので,「要約」のみならず,しっかりとした論文を自らのために書いていただきたいと思います.最後に編集委員会からのお願いですが,「症例報告」の「要約」では,最初に「症例」の「年齢,性別」から書き始めるスタイルになっていますので,そのようにお願いします.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.