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私ごとですが,本年3月をもって大学を定年退職いたしました.大学卒業(1975年)後教室に40年間所属し,教授としては23年9か月勤めました.今は,市中病院で皮膚科診療を主にしています.大学を去ると「仕事」の3/4が突然消滅して,宙に浮いているような思いです.教授室を片付けたところ,論文別刷が膨大な量になっていて,わずかを残してその大部分を処分して,大変でした.昔は別刷ができると人に配ったり,別刷請求に応じて送ったりしていたのですが,最近は別刷請求もなく,私もそうしていますがwebで検索すれば簡単にその論文を見れますし,自分でも電子化してキープすれば良いわけです.本誌もかなり以前,論文初頁の欄外の「別刷請求先」の記載をやめて,「論文責任者」を載せるようになりました.今後は,印刷された別刷ではなく,PDFファイルのみで良いと思いますが,著作権などの問題は検討する必要があると思います.しかしながら,自分の論文でも,古い別刷を開いてみると,当時のことが思い出されて懐かしく,また,自分でかなり良い電顕写真を撮っていたなどと感心したりして,良いこともあるものです.今や,自分は,視力も低下して,電顕のコツもかなり忘れてしまい,同じことをできませんが,皮膚科では形態学が不可欠ですので,今後も若い皮膚科医の方々には電顕に挑戦していただきたいと思います.実は,電顕を観ていると光顕レベルの理解も容易に深まるものです.さて,話は変わりますが,「論文責任者」とは何かと言うと,英文誌の“corresponding author”のことですが,投稿論文ではしばしば初めて論文を書いたとみられる若い著者の名前になっています.それを編集委員会で勝手に修正することはできませんが,本誌が意図していますのは,無論,筆頭著者が相当する場合も多いものの,まだ研修途上にある若い筆頭著者の場合,指導医である共著者に論文作成の責任をもっていただき,「論文責任者」になっていただきたいのです.よろしくお願いします.
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