- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
『臨床皮膚科』ご購読の皆さん,明けましておめでとうございます.昨年,3月11日の東北大震災からの復興も儘ならず,福島原発事故の解決は遥か先の状況で,暗いニュースばかりの昨年でありました.しかし,新年を迎えて今年は少しでも明るい年になりますようにと祈願しています.さて,明るい話題の1つとして,医学・医療の進歩は目覚ましく,皮膚科も例外ではないと感じるこの頃です.例えば,一昨年,乾癬に適応になった生物学的製剤の出現は皮膚科診療に大きなインパクトを与え,学会も様相が一変するほどです.昨年の大阪での日本乾癬学会では一般演題のいきなり何十題もが生物学的製剤関連で,ほかにセミナーやシンポジウムでもメインテーマになりました.昨年は,さらに新たな生物学的製剤が追加になり,今年9月に新潟市で開催させていただく乾癬学会ではいっそうそうなるものと思います.乾癬の診療ガイドラインも逐次改変されるでしょう.このようななか,現場のわれわれ皮膚科医はそれら新知見を得ながら,日常,千差万別の乾癬症例に対して細心の注意を払い,従来の治療を組み合わせつつ,新治療を行うわけです.その結果,良い治療成果が得られても,副作用や問題点も明らかになってくると思います.それら症例について学会発表や論文報告をする場合,本誌を例にとると,「はじめに」でその症例を報告する前提や目的について述べ,続いて「症例」では症例についてのデータを正確に記述して,その後,「考按」ではそれらデータを過去の知見に照らして検討し,新事実や問題点を抽出するわけです.論文冒頭にある「要約」ですが,これは「はじめに」とは全く異なるものです.「要約」は論文全体のまとめで,読者が本文を詳しく読む前に論文の概要を知るためのものです.また,論文検索をした場合,表題とともに参考論文を選ぶ根拠になります.したがって,「要約」は,簡潔に本文の全体について述べ,最後に「考按」したポイント,つまり著者が読者に伝えたいメッセージを書いてください.とりとめもなく,後半は「論文の書き方」になってしまいましたが,本年も『臨床皮膚科』をよろしくお願いします.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.