- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
私ごとですが,この3月末に教授を定年退任いたします.1975年に新潟大学医学部を卒業し,1991年7月に教授に昇任しましたので,皮膚科医としてほぼ40年,また皮膚科教授として23年9か月の経歴になります.振り返りますと,私の書いた初めての論文は『臨床皮膚科』1977年3月号でした.1979年1月に米国留学するまでに日本語の論文を計7編書きましたが,そのうち5編は『臨床皮膚科』でした.当然ですが,まさか今のように編集委員になるなどと思ってもみませんでした.縁があって11年も編集委員を務めています.本誌に投稿される論文は,近年,症例報告が多く,特に皮膚科専門医を目指す若い先生方のものが圧倒的です.それらを拝見していて,若い当時の自分の論文のことを思い出しています.当時は,文献検索は自分で一連の雑誌をめくりまくってコピーをとり,原稿作りは手書きで大変時間がかかりました.電顕は自分で標本作製,撮影,現像,写真焼きをすべてしていましたが,幸運にも臨床写真撮影や組織標本作製,それらのスライド・写真作成は当教室のきわめて優秀な技官がしてくれました.今,自分のそれら論文を見ても,かなり質の高いものといえます.最近は,コンピューターを使い,また,形態学的手法もデジタル化して,論文作成がずいぶんと容易で迅速にできるようになりました.しかしながら,「容易」と「安易」は別で,あまりに安易に作られた図であるため,「修正して再投稿」とさせていただくことが頻繁にあります.皮膚科の若い先生方には,臨床写真や組織写真,できれば電顕写真も,それらの質や所見を自分で評価し判断できるようにトレーニングしていただきたいと願います.それが,取りも直さず,形態学を基本とする皮膚科専門医になるということと思います.本3月号が出るとともに教授を退任しますが,本誌の編集委員はしばらく続けさせていただき,まだまだ皆さんの原稿をたくさん拝見したいと思っています.どしどしと奮って投稿してください.楽しみにしています.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.