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3月11日の東北大震災は未曽有の被害を出し,さらに福島原発事故を招くという最悪の事態となりました.被災された方々,今も避難を余儀なくされている方々に心からお見舞い申し上げます.この災害では,われわれの仲間である岩手医大,東北大,福島県立医大の皮膚科学教室の方々あるいは関連の皮膚科地方会の方々も多大な被害と精神的ダメージを受けられ,診療のみならず,教育,研究や学会活動への影響も計り知れない支障があったことと思います.今は少しでも平常に戻られたかどうかと心配しています.100年以上の歴史を有する日本皮膚科学会総会が中止に追込まれてしまったのも前代未聞でしたが,大震災の直後であり,余震も続くなか,まったくもってやむを得ないことと思います.この大震災のほんの3か月ほど前,昨年11月に東北大の相場節也教授が仙台で第74回東部支部学術大会を主催され,とても盛会であったことを思いますと,なぜこのようなことにという理不尽さを感ぜざるを得ません.交通もかなり回復したようですが,生活や仕事が災害前のレベルに回復するには今後何か月,何年とかかると予想いたします.被災された3県はわが新潟県とともに日本皮膚科学会東部支部のメンバーであり,この9月に前橋で開催される第75回東部支部学術大会で3県の皆様に元気にお会いできることを切に願っています.3月以降,本誌への投稿原稿数が目に見えて低い水準にあり,編集会議で問題視していますが,おそらく3県の先生方が大震災の影響で論文を投稿するという状況になかったためではと,私は分析しています.大震災は,一気にわれわれの大切なものを奪い,築いてきたものを破壊してしまい,目に見える形の被害を残しましたが,研究や学会活動,さらには論文発表などの知的な財産にも目に見えない多大な被害を与えているものと思います.被災された大学や皮膚科地方会の皆様に再度お見舞い申し上げますとともに,1日も早い復興を祈念いたします.
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