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文献紹介 胎生期間葉系細胞凝集塊でのWnt/β-cateninシグナルが毛包形成に必要である
伊勢 美咲
1
1慶應義塾大学
pp.56
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204280
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毛包形成過程においては,毛盤(hair placode;HP)と呼ばれる表皮の肥厚部と間葉系細胞凝集塊(dermal condensates:DC)と呼ばれる真皮の細胞凝集部との間で起こるWnt/β-cateninシグナルを介した相互作用が重要とされている.マウス背部の毛は形成の時期と形態により3段階に分かれ,それぞれguard hair,awl/auchene hair,zigzag hairと呼ばれているが,Wnt/β-cateninシグナルは通常3段階すべてのHPとDCで活性化している.
著者らは毛包形成の第一段階に相当する胎生期14.5日のDCでの毛乳頭前駆細胞特異的にβ-cateninの発現を阻害することでWnt/β-cateninシグナルを抑制するコンディショナルノックアウトマウスTbx18Cre/β-cateninfl/flを作成し,毛包形成の変化を検討した.Tbx18Cre/β-cateninfl/flマウスでは,背部の毛においてguard hairの形成が著しく阻害されたが,第2段階で形成されるawl/auchene hairや第3段階で形成されるzigzag hairの数は減少せず,毛の分化や増殖に関与する種々の遺伝子も正常に発現していた.その一方で,生後10日目のTbx18Cre/β-cateninfl/flマウスではすべての段階の毛が短くなっており,第1段階と第2,3段階の毛乳頭前駆細胞では抑制のされ方が異なることがわかった.
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