Japanese
English
原著
リンパ節転移を認めた瘢痕癌—予防的所属リンパ節郭清について
Scar Tissue Carcinoma with Lymph Node Metastasis:Significance of Prophylactic Regional Node Dissection
橋本 明彦
1
,
亀山 孝一郎
1
,
神崎 保
1
Akihiko HASHIMOTO
1
,
Kouichirou KAMEYAMA
1
,
Tamotsu KANZAKI
1
1北里大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Kitasato University School of Medicine
pp.415-419
発行日 1986年5月1日
Published Date 1986/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203455
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術前に発見困難であった所属リンパ節転移を有する瘢痕部有棘細胞癌の2例を報告した.症例1は44歳,女,頭部の熱傷瘢痕癌(T4N0M0).広範囲切除術を施行するも2カ月後,頸部リンパ節転移を認め,癌性胸腹膜炎を来し死亡した.症例2は73歳,男,左下腿の交通外傷後の瘢痕癌(T3N0M0).下腿切断術および予防的左鼠径リンパ節郭清術を施行し,同部に転移を認めた.両例とも術前に所属リンパ節を触知せず,諸検査にても転移は疑われなかった症例である.瘢痕癌は通常の有棘細胞癌に比べ,予後は不良とされている.特に原発巣進行例での所属リンパ節転移の頻度は高く,原発巣の切除術後にリンパ節転移を認める症例も少なくないと思われる.瘢痕癌の原発巣進行度,転移,予後を検討し,治療,特に予防的所属リンパ節郭清の意義につき考察を試みた.
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