産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン
郭清の困難な転移リンパ節について
望月 眞人
1
1神戸大学
pp.125
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902022
- 有料閲覧
- 文献概要
進行期の子宮頸癌,体癌の手術において,系統的骨盤内リンパ節郭清術は欠くべからざる手技である.私のリンパ節郭清術は(1)外腸骨節,(2)外鼠径上節,(3)内鼠径上節,(4)閉鎖節,(5)総腸骨節(外側鎖と内側鎖),(6)内腸骨節,(7)仙骨節,(8)基靱帯節,の順で行い,できるだけ一塊として郭清することにしている.
最近の広汎全摘術症例のうち,リンパ節転移が陽性であった症例の比率は頸癌がIb期6.2%,IIa期13.8%,IIb期21.1%,III期70%,体癌がII期17.5%,III期55.6%である.また,郭清した骨盤内リンパ節のうち,癌の転移は内腸骨節こ最も多く(44%),ついで閉鎖節(23%),基靱帯節(14%),総腸骨節(11%),外腸骨節(5%)の順である.このように内腸骨節と閉鎖節に転移が多いのであるが,周知のようにこれらリンパ節の場所は骨盤底に近く操作が難しく,また内腸骨や閉鎖動静脈,閉鎖神経などを損傷する危険性がある.特に内腸骨静脈およびその周辺の静脈の損傷は,致命的な出血をきたす危険性を含んでいる.このような理由で,従来はこの部のリンパ節に特に大きい癌転移がある場合,三林術式が行われることが多かったが,この術式もまた相当の危険性を有するものである.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.