特集 癌のリンパ節郭清をどうするか
《巻頭言》
癌のリンパ節郭清
陣内 傳之助
1
1近畿大学医学部第1外科
pp.606-607
発行日 1980年5月20日
Published Date 1980/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207429
- 有料閲覧
- 文献概要
癌の手術を歴史的にみると,まず最初の頃は原発癌巣のみを,または原発癌巣とその発生臓器の一部をくつつけて切除するに止まり,転移をも取り除くという考え方はなかつたようで,ひたすら安全性のみが問題とされていた.しかしながらやがて安全性がほぼ満足されてくるようになつてくると,こんどは根治性が要求されてくるようになり5年生存率が問題とされてきた.5年生存率をよくするためにはどうしてもリンパ節郭清ということが不可欠となつてくる.血行性転移や体腔壁膜への播種性転移もあるが,これは外科的にはとれない場合が多いし,たとえ,とつたとしても根治的意義はきわめて少ない.いまひとつは周囲組織や臓器への波及浸潤であるが,これに対しては,より広範な合併切除で対応するほかはない.
このような順序で癌の手術が発達してきたのであるから,所属リンパ節転移も,周囲組織や臓器への波及浸潤におけると同様の考え方から,ごつそりen blocに取ることが行なわれるようになつた.胃癌におけるApplebyの手術もその好適例である.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.