Japanese
English
原著
外毛根鞘性腫瘍の1例
A Case of a Trichilemmal Tumor
木村 俊次
1
Shunji KIMURA
1
1日野市立病院皮膚科
1Division of Dermatology, Hino City Hospital
pp.465-470
発行日 1984年5月1日
Published Date 1984/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203046
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88歳女子に生じた外毛根鞘性腫瘍の1例を報告した,本例は臨床的に19×9×18mmの有茎性腫瘤として前胸部に単発し,表面角質性で硬く,全体として褐色調を呈する.組織学的には大小の嚢腫状構造を有する胞巣が茎部表皮から連続性に増殖し,各胞巣は主に胞体の明るい細胞から成り,辺縁部では基底細胞様細胞が柵状配列を示す部分もみられる.細胞の配列の軽度の乱れやclumping cellも存在する.嚢腫状構造は多くは空虚で若干の絮状物質を容れるのみであるが,一部は角質物質を容れ,それに接する腫瘍細胞は外毛根鞘性角化を示す,この他茎部表皮近傍の腫瘍最外層には,典型的な外毛根鞘性角化を示す大型明調細胞の増殖をみる.明調細胞はいずれも多量のグリコゲンを含む.以上の所見から本例を一部にtrichilemmoma, proliferating trichilemmal cyst,およびtricholemmalkeratosisの所見を併有する外毛根鞘性腫瘍と診断し,類似報告例との比較・検討を行った.
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