Japanese
English
連載 眼の組織・病理アトラス・144
眼瞼の外毛根鞘癌
Tricholemmal carcinoma of the lid
坂本 泰二
1
,
猪俣 孟
1
Taiji Safeamoto
1
,
Hajime Inomata
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.1652-1653
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906031
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外毛根鞘癌tricholemmal carcinomaは,毛嚢hairfollicleの外毛根鞘external root sheath由来の悪性腫瘍である。Headington1)が外毛根鞘腫tricholem-momaのうち,悪性のものをtricholemmal carcinomaと分類,命名した。外毛根鞘癌は紫外線に曝露される部分に発生しやすく,顔面や頭部の皮膚に好発する。中高年に発症したとの報告が多い。
眼瞼の外毛根鞘癌はきわめて稀な疾患で,わが国における報告はわずか数例にすぎない。皮膚表面に盛り上がった腫瘤を形成して,表面に潰瘍を伴う(図1)。外見上は,霰粒腫や脂腺癌と区別できないので,摘出して病理組織学的に診断する。外毛根鞘癌も脂腺癌も,どちらもいわゆる「なかなか治癒しない霰粒腫」という臨床症状を示すが,病理学的検査で鑑別が可能である。眼瞼以外では,臨床的には基底細胞腫と診断されやすい。
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