Japanese
English
原著
老人性白毛における色素脱失機序の電顕的研究
Electron Microscopic Studies on the Pathogenesis of Pigment Loss in the Senile White Hair
吉川 博文
1,2
,
三島 豊
1
Hirofumi YOSHIKAWA
1,2
,
Yutaka MISHIMA
1
1和歌山県立医科大学皮膚科学教室
2サンスター歯磨(株)研究開発部
1Department of Dermatology, Wakayama Medical University
pp.525-533
発行日 1973年6月1日
Published Date 1973/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201165
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本邦人黒色頭髪が老人性白毛に至る種々の色素脱失段階における毛根部を検索した.正常黒色毛に比し,白毛化の初期段階の灰色毛毛根部においては,melanocyte(MC)数の明らかな減少及びMC zoneの消失,毛球部角化細胞内に貪食蓄積されたmelano-someの著明な減少をみるも,残存するMC内におけるmelanization processおよびGolgi氏装置によるpremelanosome形成能は保全されているのを認め得た.電顕的dopa反応により,premclanosomc及びcoated vesiculeならびにGolgi associatedendoplasmic reticulum内にin vitro dopa-melanin生成能を認め得た.白髪化の進行した老人性白毛においてはMCの完全消失,毛球部角化細胞内のmelanosomeの減少消失を認めた.しかしながら尋常性白斑のようなα-樹枝状細胞の著明な増加,汎発性白皮症MCのようなmelanizationの欠損を有するpremelanosomeを認め得ないことから,毛髪の生理的老人性色素脱失は,従来のいずれの型とも異なる第3の型ともいうべきmelanin生成障害過程によるものと考えられる.
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