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外傷性嗅覚脱失について
市原 正雄
1
,
宮尾 赳
1
,
小松 晃
1
,
神尾 鋭
1
,
平良 憲一
1
,
白倉 賢三
1
,
佐久間 義房
1
,
村山 知子
1
,
塩川 久子
1
,
市原 文彦
1
,
浅賀 英世
1
,
小田 昤
1
1昭和医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.317-321
発行日 1962年4月20日
Published Date 1962/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202835
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緒言
頭部外傷の臨床は近年交通災害の増加と相まち外科臨床上重要なものとなつた。耳鼻咽喉科領域においても頭部外傷後遣症としての聴力障害,耳鳴,平衡障害,言語障害等を扱う機会が増し,この診断及び治療はゆるがせにする事は出来ない。頭部外傷後に起る嗅覚障害は比較的頻度の高いものであるが,予後は極めて不良なものとされている。しかも頭部外傷に続発せる嗅覚障害に関しての研究は比較的少く,本邦文献には原田,萩野,豊田,西邑,中江等の記載をみるに過ぎない。頭部外傷による後遺症状が重大で,而も耳鼻科医が直接治療に当る部分が少い事に起因しているものと思われる。私共は最近頭部外傷後,頭蓋骨に何等の変化を認めず,而も高度の嗅覚障害を来せる7例に遭遇したので報告し,併せて本邦文献につき考察を試みた。
Seven cases of anosmia as the result of and following head injury are reported with discussions and review of literature.
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