Japanese
English
症例報告
ソラフェニブによるびまん性色素脱失の黒人男性例
A case of generalized hypopigmentation of skin associated with sorafenib therapy in a black man
高坂 美帆
1
,
谷戸 克己
1
,
太田 有史
2
,
上出 良一
1
Miho TAKASAKA
1
,
Katsumi TANITO
1
,
Arihito OTA
2
,
Ryoichi KAMIDE
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院皮膚科学講座
2東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科学講座
1Department of Dermatology, Daisan Hospital, The Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Department of Dermatology, The Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
ソラフェニブ
,
色素脱失
,
KIT
Keyword:
ソラフェニブ
,
色素脱失
,
KIT
pp.1043-1046
発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103480
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 フォトスキンタイプVIの45歳,黒人男性.腎細胞癌の脳転移,肺転移に対して2010年9月よりソラフェニブ(ネクサバール®)1回400mg 1日2回経口投与が開始された.内服開始10日後より全身の皮膚色の淡色化を自覚するようになった.ソラフェニブによるびまん性色素脱失と考えた.手足症候群も出現した.手足症候群はステロイド外用にて軽快した.ソラフェニブは12か月間内服したが腫瘍増大傾向のため中止された.皮膚の色調は内服終了後,徐々に回復した.ソラフェニブが,メラニン合成に関与するc-KITを阻害することで,皮膚の色素脱失が生じたと考えた.現在,海外では他のマルチキナーゼ阻害剤であるイマチニブ,スニチニブでの色素脱失の報告はあるが,ソラフェニブでの報告はまれである.本症例はマルチキナーゼ阻害剤がメラノサイトに与える影響や,c-KITの果たす役割を考えるうえで重要であると思われた.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.