海外見聞記
ラテンアメリカ便り(2)—ペルー
大城戸 宗男
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科
pp.640-641
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200520
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知らぬ所へ旅をするなら案内書一冊位読んでも良いと思うが,面倒だからキップを買えばそれで充分,どこへ着くか位分るからいいよといつていた関西の男が東京の地下鉄で3駅間を2時間かかり,これが旅のキビシサであると喜んでいた。パンアメリカン航空の宣伝1)によればペルーは偉大なるインカの廃墟と20世期の現代が入りまざり,住む人々ときたら素朴で女性は最高にイキとあつたから,今でも多分間違つた国に一泊したに違いないと信じている。これもパンアメリカンを利用しなかつた罰に決つている。
なにしろ住民の1/3が白人で残りがインディオまたは混血2)とあつて,彼らときたら生れた時しか風呂に入らないよと教えてくれた人は紳士だつたから出歯亀趣味がなかつたためであろう。もつともそれが本当らしく思われる程匂つてくる。ここは一晩で通過するだけであるから,ここでやめれば本来無口な小生にぴつたりであるが,皮膚科に若干関係あるので迷惑承知で続ける。
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