Derm.2014
初心にかえる
海老原 全
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科
pp.116
発行日 2014年4月10日
Published Date 2014/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104005
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最近,診療の現場で気をつけていることは初心にかえるという意識です.医者になって30年近く経つとどうも傲慢になってしまいます.患者さんの話もある程度の段階でパターン化してしまい,途中でもういいかなというような感じになってしまいます.ある日,アトピー性皮膚炎で通院している女性の患者さんが診察室に入ってくるなり,内服している抗ヒスタミン薬を使用した後にかゆみがひどくなり,皮疹も悪化する気がすると訴えました.患者さん達の訴えによくある,気にし過ぎ,思い込みかなと考え,流してしまおうと思っていたところ,「あれ?」という話が始まりました.以前ほかにも悪化した気がする薬剤があり,それらに共通する項目があるというのです.その方はトウモロコシのアレルギーがあり,それらの薬にはトウモロコシデンプンが使用されているというのです.ほかにも多種食事アレルギーを有しており,度々血液検査などを施行されてきた方でしたので,とても敏感に感じ,ご自分で調べられていたのです.
この方が内服していた抗ヒスタミン薬はアタラックスP®で,添加物としてトウモロコシデンプンが入っています.トウモロコシデンプンというのは賦形剤,結合剤,崩壊剤としてさまざまな薬剤に使用されています.以前ビオフェルミン®錠剤を内服した後にも皮疹の悪化があったとのことでしたが,ビオフェルミン®錠剤にもトウモロコシデンプンが入っています.アタラックスP®を中止し,状態は沈静化しました.
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